73歳からのAI挑戦|自治会資料を“探す”から“聞く”時代へ
▶︎第18回「Gemとは何か、自分専用AIとしてどう使えるのか」
自治会の仕事をしていると、資料がどんどん増えていきます。
総会資料、予算書、決算書、行事計画、名簿、回覧文、引き継ぎ書、過去の議事録。
一つひとつは大切な資料ですが、年数が重なると、どこに何があるのか分からなくなります。
「去年の敬老会の予算はいくらだったか」
「作品展の準備は、いつから始めていたか」
「ふるさとまつりの反省点は、どの資料に書いてあったか」
こうしたことを調べるだけで、かなりの時間がかかります。
そこで注目したいのが、Googleの NotebookLM です。
NotebookLMは、Googleが提供しているAIを使った調査・学習支援ツールです。PDF、Googleドキュメント、Googleスライド、Webページなどを資料として追加し、その資料をもとに要約や質問への回答をしてくれます。つまり、インターネット全体から適当に答えるAIではなく、こちらが入れた資料を根拠にして答えるタイプのAIです。
自治会資料の整理には、かなり相性が良いと感じます。
NotebookLMとは何か
NotebookLMをひと言で言えば、資料を読ませて使う、自分専用の調査ノートです。
普通のChatGPTは、こちらが質問すれば幅広く答えてくれます。
一方でNotebookLMは、こちらが登録した資料をもとに答えることを得意としています。
たとえば、自治会の過去資料を入れておけば、次のような質問ができます。
「令和6年度の主な支出をまとめて」
「昨年の作品展の準備手順を箇条書きにして」
「総会資料から、住民に説明すべきポイントを抜き出して」
「敬老会の案内文を作るために、過去の文面を参考に整理して」
これは、資料整理というより、資料との対話に近い使い方です。
Google公式の説明でも、NotebookLMは追加した資料をもとに要約や情報抽出を行うツールとされています。また、資料に基づいて回答するため、一般的なAIよりも根拠を確認しやすい点が特徴です。
自治会資料整理で何が助かるのか

自治会資料で一番困るのは、資料そのものが存在しないことではありません。
多くの場合、資料はあります。
問題は、必要な時に取り出せないことです。
パソコンの中に保存してある。
Google Driveにもある。
PDFもある。
Excelもある。
紙をスキャンしたものもある。
しかし、いざ必要になると、どのファイルを見ればよいか分からない。
NotebookLMは、この問題を軽くしてくれます。
資料をノートブックに入れておけば、AIに質問する形で必要な情報を探せます。たとえば、5つ以上の資料を入れると、自動的に資料をラベル分け・分類する機能も用意されています。これは、自治会のように資料の種類が多い活動では便利です。
具体的には、こんな使い方ができる
1. 総会資料の整理
総会資料は、自治会運営の中心です。
ただし、総会資料には、事業報告、会計報告、予算案、役員案、年間行事予定など、情報が詰め込まれています。
NotebookLMに過去数年分の総会資料を入れると、次のような使い方ができます。
「令和4年度から令和6年度までの主な変化をまとめて」
「支出が増えている項目を探して」
「住民に説明が必要な論点を整理して」
「次年度の総会資料に引き継ぐべき項目を抜き出して」
これは、資料を読む時間の短縮になります。
もちろん、最終確認は人間が行う必要があります。
しかし、最初のたたき台を作るだけでも、大きな助けになります。
2. 行事の引き継ぎ資料づくり
自治会では、行事の引き継ぎがとても重要です。
ふるさとまつり、作品展、敬老会、球技大会、防災訓練。
毎年行っている行事でも、担当者が変わると、細かい段取りが分からなくなります。
NotebookLMに過去の行事資料を入れておけば、次のような整理ができます。
「作品展の準備スケジュールを時系列でまとめて」
「ふるさとまつりで必要な役割分担を整理して」
「敬老会の案内から当日運営までの流れをまとめて」
「過去の反省点だけを抜き出して」
これは、新しい役員さんへの引き継ぎにも使えます。
今までは、経験者の記憶に頼っていた部分が多かったと思います。
しかし、資料が整理されていれば、経験を次の人へ渡しやすくなります。
3. 会計資料の確認
自治会の会計は、数字を見るだけでは分かりにくいことがあります。
予算と実績の差。
前年との比較。
行事ごとの支出傾向。
今後増えそうな費用。
これらを確認するには、ExcelやPDFを何枚も見比べる必要があります。
NotebookLMに会計資料を入れれば、たとえば次のような質問ができます。
「支出が大きい項目を上位から整理して」
「前年と比べて増えた費用を説明して」
「予算案を作る時に注意すべき点をまとめて」
「住民に説明しやすい表現にして」
ただし、会計資料については注意が必要です。
NotebookLMは便利ですが、数字の最終確認を任せきりにしてはいけません。
金額、合計、残高、繰越金などは、必ず元資料で確認する必要があります。
AIは、会計担当者の代わりではありません。
会計担当者を助ける補助者です。
NotebookLMが向いている自治会資料
NotebookLMに向いている資料は、次のようなものです。
総会資料
議事録
行事計画書
反省会資料
予算書・決算書
引き継ぎ書
公民館や行政との打ち合わせメモ
回覧文の過去文面
住民向け案内文
特に、文章が多い資料との相性が良いです。
反対に、表だけの資料や、画像だけの資料、手書きのスキャン資料などは、内容がうまく読み取れない場合があります。そうした資料は、先にPDF化や文字起こしをしておくと使いやすくなります。
ChatGPTとの違い

ここで、ChatGPTとの違いも整理しておきます。
ChatGPTは、文章作成や相談、構成づくりが得意です。
NotebookLMは、手元の資料を読み込んで整理することが得意です。
つまり、役割が少し違います。
NotebookLMで、自治会資料を読み込ませる。
そこから要点や課題を抜き出す。
その整理結果をもとに、ChatGPTで提案書、ブログ記事、説明文、回覧文に仕上げる。
この流れが現実的です。
たとえば、自治会DXの資料を作る場合は、次のように使えます。
まず、NotebookLMに過去の自治会資料を入れる。
次に、「自治会運営で負担になっている作業を整理して」と聞く。
出てきた内容をもとに、ChatGPTで「公民館への提案書」に整える。
さらに、ブログ用に「自治会DXの必要性」という記事に書き換える。
このように、NotebookLMは資料の読み取り係、ChatGPTは文章の編集係として使うと分かりやすいです。
音声概要も使える
NotebookLMには、資料の内容を音声で聞ける機能もあります。Googleは、資料を会話形式の音声概要に変換する「Audio Overview」機能を提供しています。
これは、自治会資料の確認にも使えます。
たとえば、行事資料や提案書をNotebookLMに入れて、音声概要を作れば、車の中や散歩中に内容を聞くこともできます。
ただし、音声概要はあくまで理解を助けるためのものです。正式な確認や住民向け説明には、必ず元資料を見直す必要があります。
注意すべき点
NotebookLMは便利ですが、自治会資料を扱う場合には注意が必要です。
第一に、個人情報です。
自治会資料には、住所、氏名、電話番号、年齢、世帯情報などが含まれることがあります。こうした資料をAIに入れる場合は、慎重に扱う必要があります。
特に、名簿や個人情報が多い資料は、そのまま入れない方が安全です。必要に応じて、個人名を削除したり、匿名化したりしてから使うべきです。
第二に、AIの回答をそのまま信じないことです。
NotebookLMは資料に基づいて答えるとはいえ、要約の仕方を間違えることがあります。数字の読み違い、文脈の取り違え、重要な条件の見落としもあり得ます。
第三に、資料の整理そのものは人間が設計する必要があります。
何でも入れればよいわけではありません。
総会資料のノートブック。
会計資料のノートブック。
行事資料のノートブック。
公民館提案資料のノートブック。
このように、目的別に分けた方が使いやすくなります。
私なら、自治会資料をこう分ける
自治会でNotebookLMを使うなら、最初から全部を入れようとしない方がよいです。
まずは、次の4つに分けるのが現実的です。
1つ目は、総会・役員会資料。
ここには、総会資料、議事録、年間計画、役員体制などを入れます。
2つ目は、会計資料。
予算書、決算書、年度比較表などを入れます。
3つ目は、行事資料。
作品展、敬老会、ふるさとまつり、球技大会など、行事ごとに整理します。
4つ目は、自治会DX・AI活用資料。
公民館や行政に提案する資料、自治会業務改善のメモ、AI活用案などを入れます。
最初は、資料を完璧に整理しようとしなくてよいと思います。
まずは一つの行事から試す。
たとえば「作品展」だけをNotebookLMに入れてみる。
そこで、どのくらい使えるかを確認する。
これが一番安全で、失敗しにくい始め方です。
73歳から使うなら、最初の目的は一つでよい
AIツールは、できることが多いほど迷います。
NotebookLMも同じです。
最初から、自治会資料を全部整理しようとすると、かえって混乱します。
まずは、こう考えるとよいです。
「過去資料を探す時間を減らす」
「行事の引き継ぎを楽にする」
「提案書を書く前の材料整理に使う」
このくらいで十分です。
自治会の仕事では、資料を作る前に、過去の経緯を調べる時間がかかります。NotebookLMは、その下調べを助けてくれる道具です。
私は、自治会DXを進める上で、NotebookLMはかなり有力な道具になると感じています。
ただし、中心になるのはAIではありません。
中心になるのは、自治会の経験、現場の知恵、そして住民のために分かりやすく整理しようとする人間の姿勢です。
AIは、その作業を静かに支える補助者です。
まとめ
NotebookLMは、自治会資料整理に使えます。
特に、過去資料の要約、行事の引き継ぎ、総会資料の確認、提案書づくりの材料整理には効果があります。
ただし、個人情報を含む資料には注意が必要です。
また、数字や正式文書は、必ず人間が最終確認しなければなりません。
NotebookLMは、自治会の仕事をすべて自動化する道具ではありません。
しかし、自治会資料を「眠ったファイル」から「使える知識」に変える道具にはなります。
これからの自治会活動では、資料を保存するだけでなく、資料を活用する力が大切になります。
NotebookLMは、その第一歩として、とても試す価値のあるAIツールだと思います。
73歳からAIに挑戦している私にとっても、これは単なる新しい道具ではありません。
地域活動の経験を、次の世代へ残すための道具です。

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