Word・Excel・PowerPointに強い、自治会事務の補助役
▶︎第19回「NotebookLMは自治会資料整理に使えるのか」
自治会の仕事には、思っている以上に「文書」と「数字」が多くあります。
総会資料、役員会資料、回覧文、案内文、会計報告、予算案、行事の反省資料。
一つひとつは小さな作業に見えても、積み重なるとかなりの負担になります。
特に自治会では、役員が毎年変わります。
前任者の資料を見ながら、今年の内容に直し、数字を確認し、印刷できる形に整える。
この作業を、限られた時間の中で行うのは簡単ではありません。
そこで気になるのが、MicrosoftのAIである Copilot です。
Copilotは、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなど、Microsoft 365のアプリと組み合わせて使えるAIです。Microsoftの説明でも、Wordで文書作成を支援し、Excelで数式や分析の提案を行い、Outlookでメールの要約などを支援できるものとして紹介されています。
では、Copilotは自治会の会計や資料作成に本当に使えるのでしょうか。
結論から言えば、使えます。
ただし、会計そのものを任せるAIではなく、会計資料や説明文を整える補助役として使うのが現実的です。
Copilotは「Microsoft Officeの中で働くAI」
ChatGPTやGeminiが、広く相談に乗ってくれるAIだとすれば、Copilotは少し性格が違います。
Copilotは、Microsoftの仕事道具の中に入って働くAIです。
たとえば、Wordで文章を作る。
Excelで表を見ながら集計や分析をする。
PowerPointで説明資料を作る。
Outlookでメールの文面を整える。
つまり、Copilotは「相談相手」というより、Word・Excel・PowerPointの中で作業を助けてくれる事務補助員に近い存在です。
自治会の仕事は、まさにこのMicrosoft Office系の作業が多くあります。
案内文はWord。
会計表はExcel。
総会資料や説明資料はPowerPointまたはWord。
役員との連絡はメール。
このような作業が中心であれば、Copilotとの相性はかなり良いと言えます。
ただし、注意点もあります。
Copilotには無料版とMicrosoft 365の中で使うものがあり、使える機能は契約内容やアプリの種類によって変わります。Microsoftの公式説明でも、無料版CopilotとMicrosoft 365内のCopilotでは利用できる範囲が異なるとされています。
そのため、自治会で使う場合は、まず自分のパソコンやMicrosoft 365の契約で、どこまでCopilotが使えるかを確認する必要があります。
自治会の会計でCopilotができること
自治会の会計で一番大切なのは、正確性です。
収入、支出、残高、繰越金。
この数字を間違えると、自治会の信頼に関わります。
そのため、Copilotに「会計を全部任せる」という使い方はおすすめできません。
しかし、Excelに入力された会計データをもとに、次のような作業を助けてもらうことはできます。
たとえば、支出の傾向を文章で説明する。
前年との違いを整理する。
予算案の説明文を作る。
総会資料に載せる会計報告の要約を作る。
科目ごとの増減理由を整理する。
これは、自治会ではかなり助かる作業です。
会計担当者は数字を確認するだけでなく、「この数字をどう説明するか」まで考えなければなりません。
ここに時間がかかります。
Copilotを使えば、Excelの表を見ながら、次のような依頼ができます。
「令和6年度と令和7年度の支出を比較して、増減の大きい項目を説明してください」
「総会で説明するために、会計報告の要点を300字でまとめてください」
「予算案について、住民にわかりやすい説明文を作ってください」
このように頼めば、数字の羅列を、住民に伝わる言葉に変える手助けをしてくれます。
ただし、ここで重要なのは、Copilotの文章をそのまま信じないことです。
AIは、表を読み違えることもあります。
会計科目の意味を取り違えることもあります。
自治会独自の事情までは理解していないこともあります。
したがって、Copilotは「説明文の下書き係」と考えるのが安全です。
数字の最終確認は人間。
判断も人間。
文章のたたき台を作るのがCopilot。
この役割分担が、自治会会計ではとても大切です。
Excelで便利なのは「分析」よりも「説明文づくり」

Excelと聞くと、AIに高度な分析をしてもらうイメージを持つかもしれません。
もちろん、CopilotはExcel内で数式やデータ整理の支援にも使えます。Microsoftも、Excelで数式の提案や分析支援ができるものとしてCopilotを紹介しています。
しかし、自治会で本当に役立つのは、複雑な分析よりも、数字をわかりやすく説明することです。
自治会の会計資料を見る人の多くは、会計の専門家ではありません。
「前年度より支出が増えています」だけでは不十分です。
「なぜ増えたのか」
「どの行事が影響したのか」
「一時的な支出なのか、今後も続く支出なのか」
ここまで説明できると、資料の信頼感が高まります。
Copilotは、この説明文づくりに使えます。
たとえば、次のような文章を作らせることができます。
「今年度は、ふれあいまつり、敬老行事、備品整備に関する支出が増加しました。一方で、繰越金を活用したため、全体の収支は安定しています。来年度は、行事費の見直しと備品更新の計画的な管理が必要です。」
このような文章は、会計資料に添えるだけで、数字の意味が伝わりやすくなります。
自治会の会計は、正確であることに加えて、住民が納得できる説明が必要です。
Copilotは、その説明づくりを支援してくれる道具になります。
Wordでは案内文・報告書・議事録の下書きに使える
自治会の資料作成で、Wordは今でもよく使われます。
総会通知。
回覧文。
役員会の案内。
行事の依頼文。
お礼状。
議事録。
活動報告。
これらは、毎年似たような文面を使いながらも、日付、場所、対象者、内容を変えなければなりません。
Copilotは、Wordの中で文章の作成や修正を支援できます。Microsoftの公式情報でも、Word、Excel、PowerPointなどのアプリ内でCopilotを利用できると説明されています。
自治会では、たとえば次のように使えます。
「敬老祝賀会の案内文を、丁寧でわかりやすい表現にしてください」
「役員会の議事録を、要点ごとに整理してください」
「総会資料の会長あいさつ文を、堅すぎず、品のある文章に整えてください」
「住民向けの回覧文なので、短く、読みやすくしてください」
自治会の文章は、ビジネス文書ほど硬くしすぎても読みにくくなります。
一方で、軽すぎると信頼感が落ちます。
この「ちょうどよい丁寧さ」を整える作業に、Copilotは向いています。
特に、役員が文章づくりに慣れていない場合には、かなり助けになります。
白紙から書き始めるのではなく、まずAIに下書きを作ってもらい、それを自治会の実情に合わせて直す。
この流れにすれば、資料作成の負担は大きく減ります。
PowerPointでは説明資料づくりに使える
自治会の資料は、紙の配布だけでなく、説明用の資料として見せる場面もあります。
公民館への提案。
行政への説明。
役員会での共有。
自治会DXやAI活用の提案。
このような場面では、PowerPointが役立ちます。
CopilotはPowerPointで資料作成を支援できます。Microsoft 365 Copilotでは、Word、Excel、PowerPointなどでファイル作成や内容整理を支援する機能が紹介されています。
たとえば、自治会の活動改善を説明する資料なら、次のように頼むことができます。
「自治会の会計事務をAIで効率化する提案資料を、5枚のスライド構成で作ってください」
「高齢化が進む自治会で、資料作成の負担を減らす必要性を説明してください」
「行政担当者に見せる提案資料として、課題、解決策、期待効果の順に整理してください」
これにより、文章だけでは伝わりにくい内容を、見出しと図解で整理しやすくなります。
自治会DXを進めるうえでは、「何をしたいのか」を相手にわかりやすく見せることが重要です。
Copilotは、その説明資料づくりに向いています。
Copilotが苦手なこと
便利なCopilotですが、何でもできるわけではありません。
自治会で使う場合、特に注意したいのは次の点です。
第一に、自治会独自の事情は自動では理解しません。
たとえば、町の行事の歴史、役員の役割、地域の慣習、住民の温度感。
こうしたものは、資料に書かれていなければAIにはわかりません。
第二に、会計判断はできません。
「この支出は妥当か」
「この予算配分でよいか」
「住民にどう説明すべきか」
こうした判断は、最終的には自治会役員が行う必要があります。
第三に、個人情報や内部資料の扱いに注意が必要です。
自治会には、名簿、連絡先、敬老対象者、会費情報など、慎重に扱うべき情報があります。
AIに入力する前に、個人名や電話番号などは削除する。
必要な範囲だけを使う。
この基本は守らなければなりません。
Copilotは便利な道具ですが、自治会の責任を代わりに負ってくれる存在ではありません。
ChatGPT、Gemini、NotebookLMとの違い

ここまで見てくると、Copilotはかなり実務向きです。
では、ChatGPTやGemini、NotebookLMとはどう違うのでしょうか。
簡単に言えば、次のような違いがあります。
ChatGPTは、企画、文章、構成、相談に強いAIです。
ブログ記事、提案書、自治会DXの構想づくりに向いています。
Geminiは、調べものやGoogle系サービスとの相性がよいAIです。
情報収集や比較検討に向いています。
NotebookLMは、資料を読み込ませて、その内容をもとに整理するのが得意です。
自治会の過去資料、議事録、規約、会計資料の読み解きに向いています。
そしてCopilotは、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなど、Microsoftの事務作業に強いAIです。
つまり、自治会で使うなら、次のように考えるとわかりやすくなります。
構想を考えるならChatGPT。
情報を調べるならGemini。
資料を読み込んで整理するならNotebookLM。
Office文書として仕上げるならCopilot。
この役割分担ができると、AIの使い分けが見えてきます。
Copilotは、自治会AIの中心というより、最後に資料を整える実務担当として考えるとよいでしょう。
自治会での具体的な使い方
自治会でCopilotを使うなら、いきなり大きなことをする必要はありません。
まずは、日常的な資料から試すのがよいと思います。
たとえば、次のような使い方です。
1. 回覧文の下書き
「自治会の清掃活動について、住民向けの回覧文を作ってください。日時、集合場所、持ち物を入れて、丁寧で短い文章にしてください。」
2. 会計報告の説明文
「この収支表をもとに、総会で説明する会計報告の要点を300字でまとめてください。」
3. 予算案の補足説明
「来年度予算案について、前年度との違いがわかるように説明文を作ってください。」
4. 議事録の整理
「このメモをもとに、役員会の議事録として、決定事項、検討事項、次回までの宿題に分けて整理してください。」
5. 提案資料の作成
「自治会の資料作成をAIで効率化する提案を、PowerPoint5枚分の構成にしてください。」
このような使い方なら、専門知識がなくても始めやすいはずです。
大事なのは、最初から完璧を求めないことです。
Copilotに一度作らせる。
人間が直す。
もう一度AIに整えさせる。
この往復で、資料の質は上がっていきます。
自治会会計では「透明性」を高める道具になる
自治会の会計で大切なのは、単に数字が合っていることだけではありません。
住民にとって、わかりやすいこと。
役員にとって、引き継ぎやすいこと。
総会で説明しやすいこと。
次年度の予算づくりに活かせること。
この4つがそろうと、会計資料の価値は高まります。
Copilotは、この中でも特に「説明しやすくする」「引き継ぎやすくする」点で役立ちます。
たとえば、Excelの数字だけを残しても、翌年の役員は困ります。
「なぜこの支出が増えたのか」
「この補助金は何に使ったのか」
「この行事費は一時的なものか」
「来年も同じ予算でよいのか」
こうした説明を文章として残しておくと、引き継ぎが楽になります。
Copilotを使えば、その説明文の下書きを作ることができます。
これは、自治会の会計を単なる数字の管理から、住民に説明できる会計へ変える一歩になります。
73歳から使うなら、Copilotは難しいのか
Copilotという名前だけ聞くと、少し難しく感じるかもしれません。
しかし、考え方はシンプルです。
Wordで文章を書くときに、横に文章の得意な人がいる。
Excelで数字を見るときに、横に説明を手伝ってくれる人がいる。
PowerPointを作るときに、横に構成を考えてくれる人がいる。
このように考えれば、Copilotはそれほど怖いものではありません。
むしろ、長年WordやExcelを使ってきた人にとっては、ChatGPTより身近に感じる場面もあるかもしれません。
自治会の役員には、パソコンが得意な人もいれば、苦手な人もいます。
その差を少し埋める道具として、Copilotは期待できます。
ただし、導入する場合は、全員にいきなり使わせる必要はありません。
まずは一人か二人が試す。
回覧文や議事録から使う。
次に会計報告の説明文に使う。
最後に総会資料や提案資料に使う。
この順番が現実的です。
まとめ:Copilotは自治会事務の「仕上げ役」として使える
Copilotは、自治会の会計や資料作成に使えます。
ただし、会計を自動で正しく処理してくれる万能AIではありません。
自治会でのCopilotの役割は、次のように考えるとよいでしょう。
Wordでは、案内文や報告書の下書きを作る。
Excelでは、会計表の説明や増減理由を整理する。
PowerPointでは、提案資料や説明資料を作る。
Outlookでは、連絡文やメール文面を整える。
つまりCopilotは、自治会の仕事を丸ごと代行するAIではなく、資料をわかりやすく整える事務補助員です。
自治会の会計で一番大切なのは、正確性と信頼性です。
そこは人間が責任を持つ必要があります。
しかし、数字を説明する文章、住民に伝える資料、役員に引き継ぐ文書。
この部分は、Copilotの力を借りる価値があります。
自治会の仕事は、これからますます担い手不足になります。
だからこそ、AIを使って、できるところから負担を減らすことが大切です。
Copilotは、そのための有力な道具の一つです。
自治会の会計と資料作成を、少しでも楽に、少しでもわかりやすくする。
その第一歩として、Copilotは十分に試す価値があります。

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