会議資料と議事録作成にAIを使う 第24回

― 自治会の会議を「記録するだけ」から「次に動ける会議」へ ―

▶︎第23回「AIで自治会の行事計画を作る」

自治会や地域活動では、会議が欠かせません。

役員会、実行委員会、公民館との打ち合わせ、行事の反省会、予算の確認、次年度への引き継ぎ。
地域の仕事は、会議によって動いていると言ってもよいほどです。

しかし、会議には大きな負担もあります。

資料を作る。
出席者に説明する。
意見を整理する。
議事録を残す。
次回までの宿題を確認する。

これらを一部の役員や事務担当者が抱え込むと、かなりの時間と労力がかかります。
特に自治会では、仕事や家庭の合間に活動している方が多いため、会議資料や議事録づくりが大きな負担になることがあります。

そこで役に立つのが、AIです。

AIを使うと、会議資料や議事録作成のすべてを人間の代わりに任せるというより、下書きづくり、整理、要約、確認を大きく助けてもらうことができます。

今回は、自治会や地域活動の会議において、AIをどのように使えば実務が楽になるのかを、初心者にも分かりやすく整理してみます。


会議資料づくりは、実はかなり難しい

会議資料というと、単に「説明する紙」と思われがちです。

しかし、よく考えると、会議資料にはいくつもの役割があります。

まず、参加者に現状を伝える役割があります。
次に、何を決めるのかを明確にする役割があります。
さらに、会議後に誰が何をするのかを確認する役割もあります。

つまり、会議資料は単なる説明文ではなく、会議を前に進めるための設計図です。

ところが、実際には次のような資料になりがちです。

・前回資料を少し直しただけ
・情報が多すぎて、何を決めたいのか分からない
・経緯の説明が長く、結論が見えにくい
・数字や日程は載っているが、判断材料が不足している
・会議後の行動が書かれていない

これでは、会議の時間が長くなります。
説明に時間がかかり、意見が散らばり、最後に「結局どうするのか」が曖昧になってしまいます。

AIは、このような資料の整理に向いています。

特に、長いメモや過去資料をもとに、会議用の分かりやすい資料に整える作業では、非常に力を発揮します。


AIに会議資料を作らせるときの考え方

AIに会議資料を作ってもらうときは、いきなり「会議資料を作って」と頼むだけでは不十分です。

AIは便利ですが、こちらが目的を伝えなければ、一般的でぼんやりした資料になってしまいます。

大切なのは、次の三つを伝えることです。

1つ目は、何の会議か。
2つ目は、誰に向けた資料か。
3つ目は、その会議で何を決めたいのか。

たとえば、自治会の夏祭り実行委員会であれば、次のように頼むとよいでしょう。

「自治会の夏祭り実行委員会で使う会議資料を作成してください。参加者は自治会役員、各部会担当、公民館職員です。今回の会議では、役割分担、予算、当日の運営体制を確認し、未決事項を整理したいです。」

このように伝えると、AIは会議の目的に沿って、資料の構成を考えてくれます。

会議資料は、きれいな文章を並べることが目的ではありません。
会議で話すべきこと、決めるべきこと、確認すべきことを明確にすることが目的です。

AIに頼むときも、この目的を最初に示すことが重要です。


会議資料の基本構成をAIに作らせる

自治会の会議資料は、あまり複雑にする必要はありません。
むしろ、分かりやすく、見やすく、会議で使いやすいことが大切です。

AIに作ってもらう基本構成としては、次の形が使いやすいです。

1. 会議名・日時・場所

最初に、何の会議かを明記します。
あとで資料を見返したときに、いつの何の会議だったか分かるようにするためです。

2. 会議の目的

この会議で何を確認し、何を決めるのかを書きます。
ここが曖昧だと、会議全体がぼやけます。

3. 報告事項

すでに決まっていること、進んでいること、共有すべき情報を書きます。
報告事項は、議論するものではなく、確認するものです。

4. 協議事項

参加者で意見を出し合い、方向を決める項目です。
AIには、協議事項を「論点」として整理してもらうと分かりやすくなります。

5. 決定事項

会議中に決めたことを記録する欄です。
あらかじめ空欄として用意しておくと、議事録にも転用しやすくなります。

6. 今後の対応・担当者・期限

誰が、何を、いつまでに行うのか。
ここが一番重要です。

会議は、話して終わりではありません。
次に動くための確認ができて初めて、会議の意味があります。


AIを使うと「たたき台」がすぐできる

AIの大きな利点は、ゼロから考える時間を短くできることです。

たとえば、行事の会議資料を作る場合、担当者は頭の中で次のようなことを考えます。

何から説明するか。
どこまで詳しく書くか。
誰に何を決めてもらうか。
前回から何が変わったか。
未決事項は何か。

これを一人で整理するのは、意外と大変です。

しかし、AIに過去のメモや箇条書きを渡すと、会議資料のたたき台を作ってくれます。

もちろん、そのまま使うのではありません。
人間が確認し、地域の実情に合わせて直します。

ここが大事です。

AIは、完成品を一発で出す魔法の道具ではありません。
しかし、考え始めるための土台をすばやく作る道具としては、非常に優秀です。

自治会活動では、この「たたき台」があるだけで、作業の負担はかなり軽くなります。


議事録作成にもAIは向いている

会議資料と同じくらい負担になるのが、議事録です。

会議が終わったあと、記憶が新しいうちに内容を整理しなければなりません。
しかし、会議後は疲れています。
別の用事が入ることもあります。
結果として、議事録作成が後回しになり、細かい内容を忘れてしまうこともあります。

AIは、議事録作成にも役立ちます。

ただし、議事録を作るときに大切なのは、発言をすべて書き起こすことではありません。

自治会の議事録で重要なのは、次の三点です。

何が報告されたか。
何が決まったか。
誰が何を担当することになったか。

この三つが整理されていれば、実務上かなり使いやすい議事録になります。

発言を長々と残すよりも、決定事項と行動予定が明確な議事録の方が、次の活動につながります。


AIに議事録を作らせるときの頼み方

AIに議事録を作ってもらう場合は、会議中のメモをそのまま渡してもかまいません。

たとえば、次のようなメモでも大丈夫です。

「夏祭り。テントは昨年と同じ数。駐車場係は不足。警備は消防団に相談。予算は昨年より物価高で増える可能性。模擬店は子ども会と相談。次回までに各部会で人数確認。」

このような荒いメモでも、AIに整理を頼むと、次のような形にできます。

・報告事項
・協議事項
・決定事項
・未決事項
・次回までの対応
・担当者
・期限

この整理ができるだけで、議事録の実用性は大きく高まります。

AIへの依頼文は、たとえば次のようにします。

「以下の会議メモをもとに、自治会役員会の議事録として整理してください。発言の細かい表現ではなく、報告事項、決定事項、未決事項、担当者、期限が分かる形にしてください。文章は簡潔で、後から見返しやすい表現にしてください。」

このように頼むと、AIは実務向けの議事録に整えてくれます。


録音データを使う場合の注意点

最近は、スマートフォンやパソコンで会議を録音し、文字起こしすることもできます。
文字起こしした文章をAIに渡せば、議事録の作成はさらに楽になります。

ただし、録音には注意が必要です。

会議の参加者に無断で録音するのは避けるべきです。
自治会や公民館の会議では、個人情報や地域内の事情が話題になることもあります。
録音する場合は、事前に目的を説明し、参加者の了解を得ることが大切です。

また、録音データや文字起こしデータをAIに入力する場合も、個人名、住所、電話番号、具体的なトラブル内容などは、できるだけ伏せた方が安全です。

AIを使うと便利になりますが、個人情報への配慮は必ず必要です。

便利さと慎重さの両方を持つことが、自治会DXでは大切だと感じます。


AIが作った議事録は必ず人間が確認する

AIで議事録を作るときに、絶対に忘れてはいけないことがあります。

それは、AIが作った内容を必ず人間が確認することです。

AIは、文章をきれいに整えるのは得意です。
しかし、会議の空気、発言の微妙な意味、地域特有の事情までは完全には分かりません。

場合によっては、決まっていないことを決定事項のように書いてしまうこともあります。
また、発言の趣旨を少し違った形で整理してしまうこともあります。

そのため、AIが作った議事録は、必ず担当者が確認しなければなりません。

特に確認すべき点は、次の四つです。

・決定事項が正しいか
・担当者が間違っていないか
・期限が正しいか
・未決事項が漏れていないか

この四つを確認すれば、議事録の実務上の精度はかなり上がります。

AIは記録係の補助者です。
最終確認をするのは、あくまで人間です。


会議資料と議事録をつなげると効果が大きい

AIを使うときは、会議資料と議事録を別々に考えるより、つなげて考えると効果が大きくなります。

会議資料にあらかじめ「決定事項」「未決事項」「担当者」「期限」の欄を作っておく。
そして、会議後にその欄をもとに議事録を作る。

これだけで、会議後の整理がかなり楽になります。

たとえば、会議資料の中に次のような表を入れておきます。

項目内容担当者期限状況
会場準備テント・机・椅子の確認○○担当8月10日未確認
駐車場係必要人数の確認△△担当8月5日調整中
広報回覧文書の作成××担当7月末作成中

このような表があると、会議中の確認もしやすくなります。
さらに、会議後の議事録にもそのまま使えます。

会議資料を「説明する紙」ではなく、「議事録の土台」として作る。
これが、AI時代の会議資料づくりの考え方です。


自治会の会議は、もっと短くできる

自治会の会議では、同じ話が何度も出ることがあります。
前回何を決めたのかが曖昧なため、また同じ議論をしてしまうこともあります。

これは、参加者の問題というより、記録と整理の仕組みの問題です。

議事録が分かりにくい。
決定事項が整理されていない。
担当者と期限が見えない。
過去資料を探すのに時間がかかる。

こうした状態では、会議が長くなるのも当然です。

AIを使えば、会議の内容を整理し、次回につながる形に残すことができます。
結果として、会議時間の短縮にもつながります。

大切なのは、会議をなくすことではありません。
会議の質を上げることです。

必要なことを確認し、必要なことを決め、次に動ける形で終える。
そのためにAIを使うのです。


初心者は、まず議事録の整理から始めるとよい

AIを会議に使うと聞くと、難しく感じるかもしれません。

しかし、最初から高度なことをする必要はありません。

まずは、会議後のメモ整理から始めるのが一番現実的です。

会議中に手書きでメモを取る。
それをあとでAIに入力する。
AIに、報告事項、決定事項、未決事項、次回までの対応に分けてもらう。
最後に人間が確認して仕上げる。

この流れなら、初心者でも始めやすいと思います。

慣れてきたら、会議前の資料づくりにもAIを使います。
さらに慣れたら、前回議事録から次回資料を作ることもできます。

つまり、AIを使った会議事務は、次の順番で進めるとよいです。

  1. 会議メモをAIで整理する
  2. 議事録の下書きをAIで作る
  3. 会議資料のたたき台をAIで作る
  4. 前回議事録から次回会議資料を作る
  5. 年間行事や引き継ぎ資料に活用する

この順番なら、無理なく実務に取り入れられます。


会議資料・議事録作成で使えるAIへの頼み方

最後に、実際に使いやすいAIへの依頼文を紹介します。

会議資料を作る場合

「以下の内容をもとに、自治会役員会で使う会議資料を作成してください。参加者は自治会役員と関係団体の担当者です。会議で確認すること、協議すること、決定することが分かるように整理してください。文章は簡潔で、A4用紙にまとめやすい構成にしてください。」

議事録を作る場合

「以下の会議メモをもとに、自治会の議事録を作成してください。発言をそのまま書くのではなく、報告事項、決定事項、未決事項、担当者、期限が分かる形に整理してください。あとで見返したときに、次に何をすればよいか分かる議事録にしてください。」

次回会議資料を作る場合

「以下の前回議事録をもとに、次回会議の資料案を作成してください。前回の決定事項、未決事項、次回確認すべきことを整理し、会議の議題として使える形にしてください。」

このように頼むだけでも、AIはかなり実務に使える資料を作ってくれます。


AIは会議を軽くし、活動を前に進める

自治会活動では、会議そのものが目的になってしまうことがあります。

しかし、本来の目的は、地域の活動を前に進めることです。
会議は、そのための手段です。

AIを使うと、会議資料や議事録づくりの負担を減らすことができます。
また、決定事項や担当者、期限が整理されることで、会議後の動きも明確になります。

これは、自治会活動にとって大きな効果です。

高齢化が進み、役員のなり手不足が課題になる中で、事務負担を軽くすることはとても重要です。
AIは、そのための現実的な支援ツールになります。

もちろん、AIにすべてを任せるわけではありません。
地域の事情を知っているのは人間です。
最終的に判断するのも人間です。

AIは、会議を支える裏方です。
資料を整え、議事録をまとめ、次にやることを見える化する。
その積み重ねが、自治会の仕事を少しずつ楽にしていきます。

会議資料と議事録作成にAIを使うことは、特別なことではありません。

むしろ、自治会DXの最初の一歩として、非常に始めやすい取り組みだと思います。

会議を短くする。
記録を分かりやすくする。
次にやることを明確にする。

AIは、地域活動を静かに支える、新しい事務局のような存在になっていくのではないでしょうか。

▶︎第25回「自治会の引き継ぎをAIで改善できるか」

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