AIで自治会の行事計画を作る 第23回

役員の負担を減らし、準備を見える化する方法

▶︎第22回「自治会活動にAIを使うと何が変わるのか」

自治会の仕事の中で、もっとも手間がかかるものの一つが、行事の計画です。

夏祭り、敬老会、作品展、防災訓練、清掃活動、球技大会。
どれも地域にとって大切な行事ですが、準備する側になると、なかなか大変です。

日時を決める。
会場を押さえる。
役割分担を考える。
案内文を作る。
予算を見積もる。
当日の流れを組む。
終わった後には反省点もまとめる。

こうした作業は、経験のある人が中心になって進めることが多く、引き継ぎも簡単ではありません。
前任者の頭の中には分かっていることでも、新しい役員には見えにくい。ここに自治会運営の難しさがあります。

そこで活用したいのが、AIです。

AIを使うと、自治会の行事計画はかなり整理しやすくなります。
ただし、AIが行事を勝手に決めるわけではありません。大事なのは、AIに「計画のたたき台」を作らせることです。

自治会の行事計画は、実は情報整理の仕事である

行事計画というと、まず「何をやるか」を考える仕事のように見えます。

もちろん、それも大切です。
しかし実際には、行事計画の多くは情報整理です。

いつ行うのか。
誰が担当するのか。
何を準備するのか。
どのくらい費用がかかるのか。
誰に案内するのか。
雨天時はどうするのか。
安全面で何に注意するのか。

これらを一つずつ整理していく作業です。

ところが自治会では、この整理が紙の資料、過去の記憶、役員同士の口頭説明に分かれていることがあります。
そのため、毎年同じ行事をしているのに、毎年同じように悩む。これが現場の実感ではないでしょうか。

AIは、この「散らばった情報を整理する作業」に向いています。

AIにできること、できないこと

まず、ここをはっきりさせておく必要があります。

AIにできることは、次のような作業です。

行事計画書のたたき台を作る。
準備作業を一覧にする。
役割分担表を作る。
案内文や回覧文を作る。
予算項目を整理する。
当日の進行表を作る。
終了後の反省点をまとめる。

一方で、AIにできないこともあります。

地域の人間関係を完全に理解すること。
役員の性格や力量を正確に判断すること。
会場の細かい事情を肌感覚で分かること。
地域の慣習や暗黙の了解をすべて読み取ること。

つまり、AIは自治会の責任者にはなれません。
しかし、優秀な事務局補佐にはなれます。

ここを誤解しないことが大事です。

まずAIに頼むべきは「行事計画書のひな形」

自治会でAIを使う場合、最初から難しいことを頼む必要はありません。
まずは、行事計画書のひな形を作ってもらうだけで十分です。

たとえば、ChatGPTに次のように依頼します。

「自治会で敬老会を開催します。高齢者向けの地域行事として、行事計画書のひな形を作ってください。項目は、目的、日時、会場、対象者、準備物、役割分担、予算、当日の流れ、注意点、終了後の反省事項を含めてください。」

これだけで、かなり実用的な計画書の骨格ができます。

もちろん、そのまま使うのではありません。
自治会の実情に合わせて、役員が修正します。

たとえば、会場が公民館なのか、自治会館なのか。
参加者は高齢者だけなのか、家族も含むのか。
弁当を出すのか、記念品だけにするのか。
来賓を呼ぶのか、地域内で完結するのか。

こうした具体的な条件を追加すると、AIの答えはさらに実務に近づきます。

行事準備の抜け漏れを防ぐ

自治会行事でよく起きるのが、準備の抜け漏れです。

当日になって、受付名簿が足りない。
駐車場係が決まっていない。
雨天時の対応が曖昧だった。
来賓席の配置を考えていなかった。
終了後の片付け担当が決まっていなかった。

こうしたことは、経験者であっても起こります。
まして新しい役員が多い年度は、なおさらです。

AIに「準備チェックリスト」を作らせると、この抜け漏れを減らせます。

たとえば、次のように依頼します。

「自治会の夏祭りを実施する場合の準備チェックリストを、3か月前、1か月前、1週間前、前日、当日に分けて作ってください。」

すると、時系列に沿った準備リストができます。

これは非常に便利です。
なぜなら、行事準備は「やること」だけでなく、「いつやるか」が重要だからです。

早く決めるべきこと。
直前でよいこと。
当日に確認すること。

これを分けるだけで、役員会の進行もかなり楽になります。

役割分担表もAIで作れる

自治会行事では、役割分担も悩みどころです。

会長、副会長、会計、班長(組長)、女性部、体育部、子ども会、老人会、ボランティア。
地域によって呼び方は違いますが、多くの人が関わります。

ところが、誰が何を担当するのかが曖昧だと、結局一部の人に負担が集中します。

AIには、役割分担表のたたき台も作らせることができます。

たとえば、次のように頼みます。

「自治会の作品展を開催します。役員10名で準備する場合の役割分担表を作ってください。受付、展示準備、会場設営、広報、来場者対応、片付け、記録写真、会計管理を含めてください。」

このように依頼すると、担当業務ごとに整理された表ができます。

もちろん、実際に誰が担当するかは人間が決めます。
しかし、役割の一覧があるだけで、会議は進めやすくなります。

AIは、会議の前に「考える材料」を用意してくれるのです。

予算の項目整理にも使える

行事計画で避けて通れないのが予算です。

テント代、印刷代、弁当代、飲み物代、記念品代、保険料、謝礼、備品代。
行事によって必要な費用は異なります。

AIに金額を正確に決めさせることはできません。
しかし、予算項目の整理には使えます。

たとえば、次のように依頼します。

「自治会の敬老会を開催する場合、予算書に入れるべき項目を一覧にしてください。支出項目、内容、注意点を表形式で整理してください。」

これにより、予算を考えるための枠組みができます。

実際の金額は、過去の会計資料や見積書を見て入力します。
AIはあくまで、項目の整理役です。

この使い方なら、会計担当者にも受け入れられやすいはずです。

案内文や回覧文の作成が早くなる

自治会行事では、住民向けの案内文も必要です。

この文章作成が、意外に時間を取ります。
堅すぎると読みにくい。
くだけすぎると品がない。
必要事項が抜けると問い合わせが増える。

AIは、この案内文作成にとても向いています。

たとえば、次のように頼みます。

「自治会の清掃活動のお知らせ文を作ってください。対象は地域住民です。日時、集合場所、持ち物、雨天時の対応、参加のお願いを含めて、丁寧で分かりやすい文にしてください。」

このように依頼すれば、住民に伝わりやすい文案ができます。

さらに、文体の調整もできます。

「もう少しやわらかくしてください」
「高齢者にも分かりやすい表現にしてください」
「回覧板用に短くしてください」
「公民館に提出する文書として、少し正式な表現にしてください」

このように頼むと、用途に合わせた文章に整えられます。

自治会の文書は、ただ書けばよいわけではありません。
相手に合わせて、伝わる形にすることが大切です。

行事後の反省会にもAIは役立つ

行事は、終わってからも大事です。

良かった点。
困った点。
来年改善したい点。
参加者の反応。
準備で不足したもの。
役員の負担が大きかった部分。

これらを残しておかないと、翌年また同じことで悩みます。

AIには、反省会メモの整理も頼めます。

たとえば、役員会で出た意見を箇条書きで入力し、次のように依頼します。

「以下のメモをもとに、自治会行事の反省会記録として整理してください。良かった点、課題、来年度への改善案に分けてください。」

これで、次年度に引き継ぎやすい記録になります。

自治会で本当に大事なのは、行事を一回成功させることだけではありません。
翌年の人が困らないように残すことです。

AIは、この引き継ぎ資料づくりにも大きな力を発揮します。

AIを使うときの注意点

便利なAIですが、自治会で使う場合には注意も必要です。

第一に、個人情報を入れすぎないことです。
住民の氏名、住所、電話番号、健康状態、家族構成などを、そのままAIに入力するのは避けるべきです。

第二に、AIの文章をそのまま使わないことです。
AIの文章は整っていますが、地域の空気までは分かりません。
最後は必ず人間が確認し、自分たちの自治会に合う表現に直す必要があります。

第三に、AIを使う人だけが分かる形にしないことです。
自治会には、パソコンが得意な人もいれば、紙の資料の方が安心する人もいます。
AIで作った資料も、印刷して配れる形にすることが大切です。

自治会DXは、高齢者を置き去りにするためのものではありません。
むしろ、誰でも分かりやすく、引き継ぎやすくするための工夫です。

AIは自治会役員の「準備係」になれる

自治会の行事計画は、経験と段取りが必要です。
だからこそ、一部の人に負担が集中しやすい仕事でもあります。

AIを使えば、計画書、準備リスト、役割分担表、案内文、予算項目、反省会記録まで、かなりの部分を整理できます。

もちろん、最終判断をするのは人間です。
地域の事情を知っているのも、人間です。
住民と顔を合わせるのも、人間です。

しかし、その前の資料づくりや整理作業は、AIに手伝ってもらってよい時代になりました。

自治会の行事は、地域のつながりを守る大切な活動です。
その大切な活動を続けるためにも、役員の負担を減らす工夫が必要です。

AIは、自治会を冷たくする道具ではありません。
むしろ、人が人と向き合う時間を取り戻すための道具です。

これからの自治会では、経験者の知恵とAIの整理力を組み合わせることが大切になります。

行事計画を一から悩むのではなく、AIでたたき台を作り、役員みんなで現実に合わせて整える。
それだけでも、自治会の準備はずいぶん楽になります。

自治会活動は、まだまだ変えられます。
その第一歩は、行事計画をAIと一緒に作ってみることかもしれません。

▶︎第24回「会議資料と議事録作成にAIを使う

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